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コンバージョン計測を軽視していませんか?運用型広告で成果を出すために必要なことをカルテットコミュニケーションズさんに聞いてきました。

運用型広告は人間が関与できる部分が以前よりも減って、機械学習やAIを使ったものへと変化しています。過去の知識では効果が出ないどころか損失が発生しかねない状況です。結果を出すためのコンバージョン計測を中心に、カルテットコミュニケーションズさんにお話をお聞きしました。

※主に中小企業のウェブ担当者の方向けの内容です。

【聞き手】
運営堂
森野(もりの)

【話し手】
株式会社カルテットコミュニケーションズ
マーケティングエバンジェリスト 多々良(たたら)さん
アカウントストラテジスト 香西(こうざい)さん

フォームはコンバージョン率に大きく影響するのに扱いが悪い

株式会社カルテットコミュニケーションズ 香西さん・多々良さん

森野:
今日はカルテットコミュニケーションズの多々良さんと香西さんに、最近の広告運用、特にコンバージョントラッキングについてお話を伺いたいと思います。昔は、コンバージョンってフォームの完了ページにタグを入れておけばOKみたいな感じでしたよね?今でもそんな感じなのでしょうか?

多々良:
もう、それでは足りないですね。今は全ページにGoogleタグマネージャーを設置してくださいと案内しています。コンバージョンに設定するものは、フォームの完了以外にもPDFのクリックであったり、電話番号のタップのコンバージョンもありますし、運用しながら臨機応変に対応しないといけないですから。

森野:
基本はフォームの完了ページとはいえ、その計測も一筋縄ではいかないところもありますよね。

香西:
そうですね。Contact Form 7のように初期設定では完了ページがないフォームもありますし、独自のフォームでも完了ページが無いものって意外と多いです。ここが計測できないと機械学習に影響も出てきて学習も進まないですし、結果的に広告運用もうまくいかなくなります。

森野:
コンバージョンタグを設置しようと思っても、フォームが適切に設計されていないと難しいですし。

多々良:
フォームってコンバージョンする場所なので重要度が高いにもかかわらず、扱いが悪いことが多いです。フォームがiframeになっていて別ドメインで埋め込まれていたり、リダイレクトがかかっていたりすると、通常の設定ではうまく動かないことがよくあります。

株式会社カルテットコミュニケーションズ マーケティングエバンジェリスト 多々良さん

香西:
フォームがユーザーにとって使いづらいと、それだけで離脱率が上がってしまい、コンバージョン率が下がります。スマホ対応ができていないフォームも致命的です。ここを整備するだけでもコンバージョン率が上がるからもったいないですよね。タグに関してはGoogle タグマネージャーで設定したトリガーが動かないこともあるので、その場合はGoogleのテクニカルサポートに相談することもありますね。

多々良:
最終的には完了画面さえしっかり表示されればどうにかなります。フォームの設定が整っていると広告の設定も簡単になるので、運用者にとってもメリットが大きいです。

森野:
なるほど。広告運用の精度やコンバージョン率を上げるためには、まずフォームを整えることが大事なんですね。

多々良:
その通りです。フォームがしっかりしていれば、初心者でも設定がしやすくなりますし、結果的に広告の効果も上がります。

森野:
例えば、Pivot-Formのような独自にカスタマイズ可能なフォームだとどうですか?

多々良:
設定が変更しやすいフォームは非常に助かりますね。そもそものタグ設置で悩むことが減りますし、フォーム自体の最適化もしやすくてコンバージョン率が上げやすいですから。

香西:
我々もナレッジを共有しているので、同じパターンのフォームが多いと、それだけ運用が楽になります。社内では「新種」と読んでいるんですが、見たことがないフォームが出るたびに対応が必要で、ここの調査や設定に工数が取られてしまいますので、同じタイプのフォームで統一してくれると非常に助かります。

株式会社カルテットコミュニケーションズ アカウントストラテジスト 香西さん

コンバージョンは広告運用にとって重要なデータ 

森野:
昔はコンバージョンって数を数えるか、CPAの算出に使ったりする程度だったんですが、今は機械学習に使いますし、広告運用にはさまざまなシグナルが必要になってますよね。

多々良:
Cookie規制の影響もあって、計測できるデータが減っている中で、逆に取得しないといけない情報は増えてきています。例えば、拡張コンバージョンでは電話番号やメールアドレスの取得も必要になってきています。

森野:
コンバージョン計測の重要性が高まってきているんですね。

多々良:
広告の管理画面で見られる情報も減ってきているので、少ない情報の中で運用するのが、今のスタンダードになりつつありますし、1つの情報の価値が昔よりもはるかに大きくなっています。

香西:
昔は、自然検索のキーワードが見られなくなったときに、「まだ広告が見れるからマシだ」なんて言っていましたが、今は広告も見られなくなってきていますしね。

多々良:
特に大企業ほどコンバージョンを計測しないと費用対効果が悪くなって、大きなデメリットがありますし、コンバージョン数が多くない中小企業では1件のコンバージョンの重みは非常に大きいです。だからこそ、コンバージョンの計測は広告主の皆さんにも気を使ってほしいです。

森野:
月に数件しかコンバージョンが小規模な会社の場合、どうやって広告を運用していくんですか?

多々良:
マイクロコンバージョンを使うことが多いですね。コンバージョン数が少ないと、データの精度が下がることはありますが、それでも数を集める方が重要です。いろんな業種で運用してきましたが、マイクロコンバージョンを設定することで、得られるメリットの方が大きいと感じます。

森野:
マイクロコンバージョンを設定する場所も限られてきますよね。例えば、問い合わせフォームにたどり着かない場合とか。

運営堂 森野

香西:
そうですね。そういうときは、スクロール率や滞在時間など、別のデータを組み合わせて計測することがあります。読了率みたいに、ページの重要な部分にどれだけユーザーが到達したかを測る、といった感じです。

多々良:
特にコンテンツが多いサイトでは、どこまでスクロールされたかを測るのは有効ですね。ページ全体を見てもらえれば、ユーザーの興味度もわかりますし、データとして有用です。

森野:
なるほど。アクセスを集めた上で、ページの重要部分まで到達していれば、それもコンバージョンとしてカウントしようという考えですね。

香西:
そうですね。バナーのクリックや、特定のセクションに到達したかどうかもチェックしています。

多々良:
そういったデータを集めることで、広告運用の精度も上がります。もちろん、普通のコンバージョンがたくさん取れた方がいいんですけど、小規模な場合はこういう工夫が必要ですね。

運用者ができることが減ってデータの重要性が増えている

森野:
広告の運用方法もかなり変わりましたよね。最近では自動入札が主流になっていますが、拡張コンバージョンや機械学習の影響ってどう感じますか?

多々良:
自動入札は、もはやスタンダードですね。特にスマート自動入札がほとんどを占めています。拡張CPCで運用しているアカウントは、今ではほとんど見かけませんね。

香西:
先ほど話したように、コンバージョンの価値はますます高まっています。コンバージョンがちゃんと計測できないと、機械学習が機能しなくなります。つまり、広告運用もまともにできないということになりますね。

森野:
それって昔と比べて、運用者ができることが減っているってことですか?

多々良:
その通りです。広告の管理画面で見られる情報が少なくなってきているので、どの情報も重要です。1つのコンバージョンデータが、運用者にとってどれだけ貴重か、昔よりも実感します。

香西:
特に検索語句のデータなどは、まとめられすぎて、詳細がわからないことも増えましたね。

森野:
昔は、広告画面に張り付いていればどうにかなる時代だったかもしれませんが、今は違うということですね。最近では、Cookie規制の影響も大きくなっていますよね。コンバージョン計測にどんな影響が出ているんでしょうか?

多々良:
Cookie規制によって、計測できるデータが減っているのは事実です。特にiPhoneユーザーが多い業種では、ITPの影響でコンバージョンの計測が難しくなっています。広告予算が少ない場合でも、ターゲットユーザーがモバイル中心なら、コンバージョンの計測方法をしっかりと整える必要があります。

香西:
BtoBでも最近はモバイルでの検索が増えてきているので、無視できないですね。

森野:
BtoBでも3割くらいがモバイル検索という話を聞いたことがあります。ということは、デバイスやブラウザの比率を見て、どれだけ影響が出るかを確認する必要があるんですね。

多々良:
そうです。既に広告配信している場合は、そのデータを見て、影響が大きそうだなと感じたら、対応を検討すべきです。

森野:
そうすると、ChromeのサードパーティーCookie廃止が延期されたのは、広告運用者にとって一時的な救いだったんでしょうか?

香西:
一時的には助かっていますが、根本的な問題解決にはなっていませんよね。避けて通れない問題ですし、特にプライバシーに関する法律が厳しくなっているので、広告運用者もその辺りをしっかり対応していく必要があります。

森野:
これを機に、コンバージョンの計測やプライバシー対策をしっかりしておかないと、後で困ることになりますよね。

広告運用でも個人情報の収集に配慮する必要あり

森野:
広告運用する際、最初にクライアントのプライバシーポリシーや個人情報収集方法をチェックする必要がありますか?

多々良:
コンバージョン計測に個人情報が絡む場合は、必ず確認が必要です。広告の管理画面にも、設定した際に確認画面が出てきます。特に拡張コンバージョンやカスタマーマッチなど、個人情報を扱う場合は注意が必要ですね。

香西:
GoogleやYahoo!は、広告主に対して情報を提供しているので、それを参考にしながら対応することもありますね。

森野:
先ほど話に出た拡張コンバージョンについてはよく聞きますが、これってどれくらい効果があるものなんでしょうか?特に、小規模な会社だと、そんなに変わらないんじゃないかと思うんですが。

多々良:
確かに、予算が少ない場合は、インパクトもそれほど大きくないかもしれません。ただ、拡張コンバージョンを導入することで、1件でも多くのコンバージョンを得られる可能性があるので、やらない手はないですね。前述のように中小企業にとっても、1件のコンバージョンが非常に大事ですから。

森野:
つまり、どんな規模の企業でも、やっておいた方がいいってことですね。ただ、拡張コンバージョンを導入するには、プライバシーポリシーや顧客データの取り扱いを見直さなければいけないですよね。これは結構ハードルが高いんじゃないですか?

香西:
確かに、プライバシーポリシーを更新しなければならない場合が多いです。ここに関しては広告運用というよりも、会社としてやっておかないといけないこととして考えてほしいですね。個人情報の不適切な利用や漏えいは会社全体に大きな影響を与えますから。

多々良:
広告運用者としては、プライバシーポリシーの具体的な内容についてアドバイスすることはできませんが、クライアントにはその必要性をしっかり伝えていますし、顧問弁護士に確認を依頼することもあります。

森野:
プライバシーポリシーの重要性を理解していない企業も多いですからね。しっかりと整備しておかないと、後々問題になることもありますよね。

香西:
そうですね。特に最近の法律は厳しいので、しっかり対応していないと広告運用もマーケティング活動全般もスムーズに進められなくなってしまいます。

今後は自社で収集したファーストパーティデータが重要に

森野:
コンバージョンの計測だけでなく、最近はファーストパーティデータ(※)の重要性も増しているようですが、これについてどうお考えですか?
※ファーストパーティデータ:規約に基づいて自社で収集した顧客データ。

多々良:
ファーストパーティデータは、今後ますます重要になっていくと思います。特にCookie規制が厳しくなる中で、自社で持っているデータをどう活用するかが、広告運用の成否を分けるポイントになってきています。

香西:
特に大企業では、ファーストパーティデータを整備して運用しているところが多いですし、整備を始めているところも多いです。ファーストパーティデータを基にした広告配信は、効果が非常に高いです。

森野:
中小企業の場合、そもそもファーストパーティデータが少ないという問題もありますよね。これに対してはどう対応すればいいんでしょうか?

香西:
確かに、データが少ないと、広告配信の精度が落ちることがあります。最低限必要なデータ量がありますし、データのマッチ率も重要です。例えば、1000件のデータをアップロードしても、実際に活用できるのはその半分くらいだったりします。

多々良:
足りないから無理と考えるのではなくて、早めにファーストパーティデータを集め始めることが大切です。データを集めるのは時間がかかりますから。

森野:
中小企業だと顧客データを営業担当ごとに持っていたり、エクセルで管理しているなど、扱いづらくなっていることも多いので、データを集めるだけでなく、それをしっかりと管理して、広告に活用できるようにしておくことが大事ですね。

広告運用はエンジニアとの連携が必須に

森野:
広告運用の複雑さが増す中で、チームワークも重要になってきていますよね。計測面で運用担当者と技術チームの連携が必要になる場面も多いと思いますが、そのあたりはいかがですか?

多々良:
確かに、昔は個人が1人で広告運用を完結できる時代もありましたが、今はそうはいかなくなっています。特に、フォームの設定やデータの管理が重要になると、技術チームとの連携が欠かせません。

香西:
弊社の場合、開発部門がしっかりとサポートしてくれるので、何とかやりくりできていますが、技術チームがない場合は大変だろうなと思います。

森野:
やはり、技術的なサポートがないと、広告運用もスムーズに進まないんですね。

多々良:
そうですね。特に最近の広告運用では、JavaScriptやタグの設置など、技術的な知識が必要な場面が増えてきています。そういった点で、技術者のサポートがあると非常に助かります。
運用者が技術的なスキルを持っていると、それだけで運用の幅が広がりますし、問題解決もスムーズに進みます。

香西:
最近では、生成AIを使ってコードを生成するなど、新しいツールを活用することで、運用者が技術的なサポートなしでもある程度対応できる場面が増えてきています。それでも、完全に技術者のサポートが不要になるわけではありませんが。

まとめ

森野:
今日のお話を通じて、広告運用におけるコンバージョンの重要性、フォームの設計、データの整備、そしてチームワークの大切さがよくわかりました。最後に、これから広告運用を始める企業や運用者に向けて、何かアドバイスはありますか?

多々良:
広告運用は複雑で難しい部分も多いですが、しっかりとしたデータを基に運用すれば、必ず成果が出ます。そのために、コンバージョンの計測やフォームの整備をしっかりと行ってほしいですね。

香西:
データが重要ではあるのですが、どのようにデータを活用するかを考えないといけません。データが整備されていないとAIもうまく学習できませんから、何でもかんでも集めるのではなくて、活用法を決めてから進めてほしいですね。

インタビューを終えて

広告運用はいろいろな手法や技術を駆使することが前提になっていますし、会社として法律的な面もしっかりしておかないといけません。広告だからお金を出せばいいんでしょ?という考えではダメだということですね。

こんな前提がありながらも「フォームってコンバージョンする場所なので重要度が高いにもかかわらず、扱いが悪いことが多い」という多々良さんのコメントはとっても納得でした。難しいことをする前に、フォームの改善という簡単なところから始めるだけで、コンバージョン率も上がりますし、広告運用もいくのであればここから手を付けたほうがいいですよね。

ということで、Pivot-Formをよろしくお願いいたします!

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